湯の街ネヲン温泉旅館物語

このサイトの管理人「湯の街ネヲン」が伊豆熱川の温泉旅館に就職したのは昭和43年（26歳）であった。当時の伊豆は、ベビーブーム世代が適齢期を迎え、新婚旅行ブームに沸いてた。春と秋の婚礼シーズンになると、伊豆半島巡りの定期観光バスには、日に1,000組もの新婚さんが乗車していたという。バスガイドさんの話によるよ、観光バスの車中では、みんなぐっすり眠っていたという。

旅は、これまで上流社会の人たちのものだったが、時代が変わって「旅」が「旅行」となりやっと庶民の手に届くものとなった。からか、旅なれたお客さんたちはおおらかであり、庶民たちは旅行先で恥をかかないようにと勉強し行儀よく振舞っていた。

温泉旅館のはじまりは大旦那が建てた立派な妾宅からだという。その名残りで女中さんや番頭さんたちは、心からの奉仕をしていた。泊る人と泊める人の間には素晴らしい関係があった。この時代のモンスタークレーマーといえば、チェックイン後、ややあって再びフロントに顔をだし「こちらのお宿は、私達のイメージとは少し違うようです」といい、お茶代として数枚の千円札を置いて黙って帰って行った。