昔、パソコンの凄さを体験。
この時、オレの記憶からすっかり抜け落ちていたものがあった。思い起こせば、前職のホテル アタガワので、当時(1980年)35才のオレは、 コンピューターのスゴイさや便利さを、この肌身もって体験していた。
ある日、社長の息子がホテルの事務室に顔を出した。普段は東京で生活をし大学に通っていた。まだ、パソコンが珍しかった頃の話である。
そんな時代のせいか、息子の幼いころから生い立ちを知る社員たちは「お坊ちゃんはパソコンでゲームばかりして遊んでいる」と陰口をたたいていた。
ソロバン片手に仕事をしていたオレに、「ネヲンさん、会計機を作ってあげようか」と、坊ちゃんが思いがけないことをいった。新しもの好きのオレは「お願いします」と即答した。
会計機の制作にあたり、坊ちゃんがだした条件はただ一つ、「ホテルの会計のシステムや流れを、僕に分かりやすく説明しなくてはだめだよ」であった。
オレに会計のシステムや流れを聞きながら、坊ちゃんはベーシック言語(当時のパソコン言語)を駆使してプログラムを書きあげ、秋葉原で部品を買い集め組み立てて会計機を作くりあげた。
個人制作の会計機としては、全国的にも数例目で、下田財務事務所からのお墨付きも得た立派なものだった。ある大手の会計機制作会社からは、プログラムを公開しないようにとの懇願もあった
ないしょの話…。
オレ、脱サラをし起業した「総案」が軌道に乗った50代のはじめ、昔を思い出して、ベーシック言語に挑戦した。たったの1ページも理解できずでアウト! それではとワープロを買ったが、これも、新品のまま押し入れの肥やしとなり、以来、これらのたぐいとは無縁となった。
家電製品は、すぐに壊れるもの。
オレたちの年代には、家電製品を楽しむなんて発想がない。理由は、子供の頃、テレビなどの家電製品をチョットいじっただけで「悪さをするな、壊れる!」と、親たちから大声で怒鳴られたので「家電製品=壊れやすいモノ」という方程式が脳ミソにすり込まれているからだ。
現代の家電製品は、見た目には華奢だがチョットやソットでは壊れるシロモノではない。だから、まずは家電製品に対する恐怖心を取り除き、パソコンを賢いオモチャだと思って気軽に遊ぶという感覚に切り替えよう。
パソコンの基本操作の習得法。
オレたちの年代の良いところは、知識や経験が豊富なことである。だが、パソコンの基本操作習得の初期には、この知識や経験が逆に足を引っ張る。それは、長い人生経験から、世の中のことはすべて知り尽くしていると錯覚し、オバケなんていないと思い込んでいるからだ。
ところがドッコイ、オバケはいるのだ。過去の経験では計りえない世界がある。それが、パソコンの世界である。未知の世界の領域に踏み込む(学習する)ということは、たとえ人生経験が豊かな人でも「オギャー」と生まれたばかりの赤ん坊と同じである。
赤ん坊といえば、高齢者がパソコンをマスターするための最速で最短の方法は、3才児に戻ることです。声を出し指差しながら一つずつ一つずつ覚えることです。学習のスタート年齢(3才児)に立ち返って恥ずかしがらずにやってみよう。さぁ~、やってみようぜ!
もの覚えが悪くなったのは、すべて加齢が原因です。悲しむことはありません。パソコンの操作習得なんて、3才児と同じレベルの繰り返しです。この単純勉強法で乗り切ろう!
パソコンがやってきた。
湯の街ネヲンがパソコンをいじりはじめて6ヶ月と少々である。最近なって、やっとパソコンに慣れてきた。使えるようになったのではない。目・肩・腰などの肉体的な苦痛から開放されはじめたということである。
この物語は、若者とは異なる肉体的、頭脳的な条件下でパソコンを学んだ高齢者が、その経緯を「63歳! 涙のパソコン挑戦記」として書いたものです。
我が総案の事務所に、デスクトップ型パソコンが、机上に堂々と並んだのは、2005年02月08日のことである。この日から湯ノ街ネヲンとパソコンのお付き合いが始まった。
はじめてパソコンが設置された時の感動は、遠い昔、我が家にテレビなるものが運び込まれた時と同じだった。「オギャー」と生まれた時から電化製品に囲まれて育った、今の若い者には、あじわえない感動であろう。こんな感動を、人生において二度もあじわったオレ、これが幸せといわずなんといおう…。
この幸せを我が事務所に運び込んだのは、伊豆長岡温泉の花山君という旅館の営業マンだ。その日の花山君は、オレを強引に PC DEPOT(ピーシーデポ)とヤマダ電機へとひっぱっていった。二軒をハシゴして買い求めた中古のパソコン一式を事務所に持ち込むと、花山君は、あれよ、あれという間にセッテングし使えるようにしてくれた。
ディスプレイ
店内でオレ、パソコンのことは何も分からないので、ただ花山君のあとをついてまわっていたが、オレは、頼りなさげな新製品のディスプレイよりも、テレビのようにドッシリとしていて頑丈そうな中古品のほうがいいと思った。
パソコン本体
花山君は、ただの箱みたいなものを指さし、人間の脳に当たるパソコンの本体が、これだと教えてくれたが、オレは、この言葉が俄かには信じられなかった。
テレビのようなディスプレイこそが、パソコンの中枢部分だと思っていたからだ。オレの知識はそんな程度あった。
さらに花山君は、OS・CPU・メモリなどが、どおのこおのと説明してくれたが、オレ、ちんぷんかんぷんであった。
キーボード
花山君は、なぜか、キーボードだけは新品を買ってくれた。オレは、人差し指でボタンをチョンチョンと叩き、いずれ、ピアノを弾くように両手で操作する己の姿を夢見ていた。
オレなんだか知らないがウキウキしてきた。なおオレ、機械ものは、とにかく正常に動けば良いという主義である。不足・不便なことは自分が機械の機能・性能に合わせれば良いのである。物品の新・旧には、ストレスを感じない性格である。
事務所には、花山君がパソコンを設置してくれるまでは、電話機とコピー機しかなかった。これまでは、パソコン嫌いだと吹聴していたが、パソコンの進化と自分の寿命のバランスを考えたとき、このあたりがパソコン嫌いの看板を下ろす潮時だと思った。所謂、年貢の納め時というやつであった。
パソコン機器に命名!
事務所のデスクの上にデンと並んだパソコンと、その周辺機器をながめていると、マイカーを手に入れたときと同じような高揚感に包まれる。手間をいとわずワックスをかけピカピカに磨き上げたクルマのように、パソコンもかわいがってあげたくなった。
パソコンは、車のようにワックスがけなどをして綺麗にできないので、それぞれの機器に名前をつけてかわいがることにした。
我が愛読書、横山光輝の漫画「三国志」から名前を拝借しそれぞれに命名した。
劉備は ディスプレイ
関羽は パソコン本体
張飛は キーボード
趙雲は マウス
孔明は Windows XP
さあ、やってみろ!
初心者、特に高齢の初心者は、デスクトップ型パソコン、すなわち、パソコン本体・モニター・キーボード・マウス・スピーカーと、さらに、プリンターなどがずらりと並んだ机のまえに座ると、なじみの薄い機器類からの無言の威圧感に気おされる。
「さあ、やってみてください!」と、ビビってる湯の街ネヲンの背後から花山君がけしかけた。
オレ、こんな体験は人生2度目である。最初は、自衛隊で運転免許教習の初日に、大型トラックの運転席で教官に「さあ、動かしてみろ」と言われた。
「ふざけるな、出来っこねえ!」と…、
私は心の中で反発したが、今や、花山先生には絶対に逆らえない。
オドオド、モジモジしている私を尻目に、花山君は持参した CD-ROM からゲーム類をインストールしてくれた。「これなら出来るでしょ」と言って、マージャン・囲碁・将棋・花札の類とオセロ・トランプ・こいこい・五目並べ等と、ブロック崩しや、ピンボールなどを開いて見せた。
オレ、旧来からある単純なゲームばっかりだったので不満そうな顔をすると「今の所長(オレ)には、最新のゲームは無理ですって…、10年早い!」と、花山君に一蹴された。
マウスに慣れよう
さて、パソコンとは思ったよりも取っ付きにくいシロモノだ。その代表がマウスだ。コイツは、なかなか思うようには動かない。コイツには結構泣かされた。最初の壁である。
例えば、マウスポインタが画面上のどこにあるのか解らない時は、手元のマウスをクルクルとまわしてその所在場所を確認した。
また、画面上でクリック先をマウスポインタで追っかけていると、知らず知らずのうちにマウスのヤツが机上の端のほうへ行ってしまう。腕が伸びきってしまう。そんなときは、マウスの接続コードを引っ張ってマウスを手元に戻した。
オレが思うに、初心者がパソコンを習得するには、まず、基本操作を身体におぼえさせることだ!
だから、パソコンでゲームをするということは、マウスを操作したりキーボードを使うことになるので、知らず知らずのうちに身体で覚えることの学習になる。余計なことは心配せずに楽しみながらお続け下さい。
それが、意外にやっかいなマウス操作の向上につながります。「趙雲」だって最初から槍の名人だったわけではない。練習をかせね慣れるしかない。
ネズミが死んだ?
毎朝一番にやることはパソコンの電源を ON にすることだ。いつものようにパソコンが立ち上がった。さあ、今日も楽しい一日が始まるぞと思いながら、電子メールのアイコンの上にマウスポインタをもっていきクリックした。マウス君、ご苦労さんといいながら…。
マウスがおかしい
ウン? おかしいぞ、いつもとようすが違う!
エッ! エ~ッ? メールのページが開かない!
ウン? なんでだ、なんでだ! と、慌てふためくオレであった。
パソコンの電源の入れ方が悪かったのかな、と思って最初からやり直すことにした。
シャットダウンするために、スタートボタン上にマウスポインタを移動し、慌ただしく何度も何度もクリックした。
ウン! ウ~ン? ここでも反応なしだ!
ヤバイ!、ウィルスか?、どうするどうすると、一人慌てふためく。
この時、素人のオレが無意識のうちにやったことがある。ディスプレイの上部を平手で二度叩いた。さらに、横っ腹をバンバンと叩いた。どちらも反応なし。接触不良かと思って、マウスを空中で激しく振ってみた。マウスをカチカチとヒステリックにクリックしてみた。いずれも反応なし。
以上、オジさんが電化製品に対する過去の経験をもとに思いつく限りの処置をした。しかし、結果はゼロであった。万策は尽きたと絶望感に襲われた。
ヨシ! こうなったら荒治療しかない、と思ってパソコンの電源ボタンを指で押して強制的に「OFF」にした。そして、気を静めながら神にもすがる思いで再度「ON」を押す。パソコンは立ち上がるものの、結果は同じであった。もしやと思って何回も繰り返してみた。やっぱりダメだ!
こうなったら最後の手段である。思い切って、エイ、ヤーのかけ声と共にコンセントを抜いた。南無三・・・。今度は仏様に縋った。そして、再びコンセントを差し込み再挑戦。またまた、結果は同じであった。
以上は、絶対にやってはいけない事です。
素人療法の万策がつきて、我がパソコンの師匠・花山君 に電話をして指示を仰ぐことにした。
「お早う御座いま~す。花山で~す」と、弾んだ声で電話にでた。人の気も知らないで、何という電話の出方だ、コンチキショウめ!、とちょっとムカッとした。が、パソコンを復旧させるのが先決なので気を落ち着かせトラブルの内容を伝えた。
「あっ、それってマウスがイカレタんですよ、買い換えてください」と、いとも簡単な答が返ってきた。トラブルの原因はマウスがイカレタのだ。ネズミが死んだ。
あとで、このときの花山君が上機嫌だったワケが解った。ちょうどゴルフを始めるところだったのだ。
そんなわけで、一人で PC DEPOT(ピーシーデポ)にマウスを買いにいった。パソコンショップで一人買い物をする自分、なんだか、とってもかっこよく思えた。
マウスには脳みそが…。
パソコンの置いてあるデスクのうしろ側の足元には埃まみれの配線のヤマがある。おぞましい光景である。オレはずうぅっ~と見ないようにしてきたが、今日ばかりはマウスを交換するために手を入れざるをえない。ジャングルのような配線をかき分けて、自力で新品のマウスに交換した。
我ながらよく出来たものだと、埃まみれななった手で自分自身に拍手をおくった。
マウスを交換して、はじめて知ったことがある。
オレ、マウスは電球と同類だと思っていた。電球はソケットにねじ込むとパッと明かりがつく。マウスもコードをパソコンに接続すればすぐに動くものだと思っていた。
なので、すぐに動かいこのマウスは不良品だと思い PC DEPOT へ文句を言いに行こうと思った。
が、念のためにマウスについていた能書きを広げてみた。そこに書かれていることを知ってビックリ仰天であった。何と!、マウスには「脳ミソ」があると書いてあったのだ。新発見である。
マウスに「脳ミソ」があるとはつゆ知らず、オレはマウスの接続を終えると、すぐにマウスを使ったのだ。マウスにすればさぞ迷惑なことであったろう。
オレが「このデキソコナイのマウスめ!」と、ののしって不良品だと決めつけていた、まさにその時、マウスの頭ミソ内では、パソコン本体から出された命令を懸命にインストールしていたのだ。「無知なオレでごめん!」と、マウスに謝った。
ちょっとひと一休み。
みなさんは、この砂時計のマークが、なんだか解りますか?
興奮冷却マーク
これは、パソコン初心者のための興奮冷却マークで、はやる気持ちをチョット待て、おちつけと静めるお助けマンなのです。
このマークを見たら、マウスから手を離し深呼吸をしましょう。気を落ち着かせ遠くを見つめて視力の回復をはかりましょう。
砂時計が消えるのを静かに待って、ゆったりとした気分で、少しづつパソコンに慣れましょう。
オレ、最近はまっているゲームがある。AI 囲碁だ。コイツはとても生真面目なヤツである。オレがセオリーなどを無視して適当な場所に石を置くと、オレのパソコン君は、興奮冷却マークを出しチョット待ってという。そのあいだ、パソコンの本体では「ウィーン」と唸り声を上げて、空調機器をフル回転させ目一杯頑張っている。
オレの適当な一手に、真剣に対処しているのだ。そんなパソコンを可愛いやつだと思えるようになってきて近親感も芽生えた。
一本指打法でOK!
パソコン操作の習得には、マウスだけではなくもう一つ身体で覚えなくてはならないものがある。それは、キーボードである。これは思い込みさえ排除すればそれで解決です。
花山君は得意げに早打ちをやってみせ、このようにヤレと言う。早く打て、しかも、両手の指を使ってやれと。フザケルナ、そんなことはできねー!
解説書も同罪である。キーボードの正しい操作方法などと称して、若者流のやり方を図解入りで説明している。
キーボードの一本指打法が非難されるいわれはない。一本足打法の王さんは、世界一のホームラン王になった。文句があるか! そもそも、60年間も働かせたこの身体、今ではあっちこっちにガタがきている。特に運動神経などはみるかげもない。「早打ち」なんぞに挑戦する余禄はない。
キーボードの最大の仕事・役割は、使い手の命令を正確にパソコンに伝えることなのだ。だから、正確に打つことが一番なのだ。それさえできれば、馬鹿な奴らがいうように、両手で操作ができないことを悩んだり悲観することはない。
では、一本指じゃかっこ悪いという方、また、ボケ防止のために両手を使いたいという方に良い方法を教えましょう。それはいとも簡単な方法で、右手の人差し指と左手の人差し指とを使って、右、左、右、左と一文字ずつ交互に打てばいい。立派な二刀流の使い手である。
モニターに盲点あり。
先日、ある友人から楽しい話を聞いた。実家の75歳のお父さんが、デスクトップタイプのパソコンを買ったそうだ。友人は高齢な父がパソコンを買うという気概に感嘆していた。そのお父さんは、目がよくないからといってモニターは22インチにしたそうだ。これには友人もビックリしていた。
友人は、まあ、お金はとっておいても仕方ないから贅沢するな、とは言わないけれど、困ったことことができたそうだ。それは、お母さんにはパソコンを触らせないのだ。理由は、いじたっら壊れるから、だって…。パソコンを前にしていがみ合う両親のことを思うと前途は多難だとなげいていた。
この話しを聞いたオレは思わずニッコリとした。それは、大型のモニターにしたお父さんの考え方が大正解だからだ。さすが年の功だと感心した。お父さん頑張れ…、応援しています。
実はオレ、パソコンを始めて一番泣かされたのがモニターなんです。現在も悩み続けている。
オレ、老眼鏡をかけ、頑張って画面を見つめても60分ほどで限界がきた。しかたなく、しばらく休んで再開しても、二回目はもっと早く、わずか5~6分でアウトになった。
それ以上は、目が痛くなってとても耐えられない。モニターには肉体的な苦痛を強いられる。年を取った者の悲しい現実です。
そんなワケでアドバイス。まずは、モニターの文字のサイズを ”大” にしましょう。
年を重ねたオレ達は、目の力や記憶力など肉体的なことはすべて減退するばかりです。悩んでばかりいても仕方ない。しかし、我々には若者達よりも優位なものもある。それは、経済的な余裕である。先ほどの友人のお父さんのように、あるものは有効に使おう!
オレも花山君にお願いして、19インチのモニターに買い換えた。ちょっと寂しくなるが、初代の劉備 玄徳のテレビのようなモニターにさよならである。理想をいえば、もっと大画面のモニターにしてキーボードから2~3メートル先に置き、老眼鏡なしでパソコンを使うことである。
わかった病に、注意!
パソコンに向き合うにあたって、我が人生60余年の間に、世の中のことはひととおり見たり聞いたり、又、かじったことがあると自信を持ち、この世には、未知・未体験の世界などがあるはずないと思って生きてきた。
これは、今日までそれなりに生きてきた自分への過信が原因で、自惚れからくる目の曇りである。
わかった病とは、じつは何にもわかっていないのに、自分では「な~んだ、そんなことか」と、解ったかのように思い込んでしまうことだ。まさに「生兵法は大怪我のもと」という故事のとおりです。パソコン習得にあたり、いつも急ぐな焦るなと思っていたのに、オレ自信が知らず知らずのうちにわかった病に取りつかれていた。
パソコンの世界が今までの経験則では計り知れない、全くの別の思考回路から成り立っているという事に気がつかなかった。
孟嘗君
話は飛躍するが、人類で一番初めにパソコンを所有し使いこなしたのは、紀元前の中国戦国時代の斉(せい)の国の宰相・田文(でんぶん)であろう。田文は戦国四君の一人で諡号(しごう)を孟嘗君(もうしょうくん)といった。
孟嘗君といえば…
【鶏鳴狗盗】(けいめいくとう)の故事が有名です。この故事にもあるように鶏の鳴きまねの上手い人、泥棒の名人…等々、一芸に秀でた人達を、3,000人もその屋敷内に召抱えていたそうだ。いわゆる、食客 3,000人といわれているものです。一芸に秀でた人達を3,000人も屋敷うちに住まわせていたということは、パソコンというボックスの中に、3,000余ものソフトが入っているのと同じようなものだ。
オレ流にいえば、孟嘗君こそが、人類史上はじめてパソコンの概念を確立した人だといえる。
いざ、新天地へ!
高齢者がパソコン操作技術の習得にあたって、一番の障害となったのが、以外にも、知らず知らずのうちに積もり積もった「思い込み」と、「ザビはじめてきた肉体」であった。
「思い込み」は、物事に対する考え方や見方、接し方を変えれば簡単に解決する。「ザビはじめてきた肉体」は、慣れという潤滑油をさし続ければ、軽快にとはいかないが、それなりに活躍します。
そして、パソコンにさんざんイジメられた目玉や指先が、どうにかパソコンになじんできたら、次は、車でいうところの路上運転の段階に入ります。
車の運転免許を取得すれば、日常生活の移動手段として、また、行楽や仕事にと、車の用途は無限に広がる。パソコンも同様だ!
でも、喜び勇んでむやみに動きまわってはいけない。車は海の中には入れないので日本の国から出ていくことはないが、パソコンには国境がないのでどこまでも行ってしまう。そう、迷子になって野垂れ死にの危険があるからだ。
パソコンの世界は広くて奥が深い。車に乗って行く先が分からんくなったら地図やガイドブックを見るように、自分はパソコンで何やりたいのかを知るためには、まず、いいガイドさんを探そう。自分自身の目的探しに、パソコン教室に通うのもいいでしょう。
超図解 もっとわかりやすい パソコン超入門
オレ、近所の書店でパソコンの入門書を買った。これを選んだ理由は、カバーのイラストが気に入ったからである。偶然とは恐ろしいもので、これが、オレにとって相性のいい最高の参考書となった。
パソコンの入門書
まずは左記の本を見て下さい。エクスメディア社のパソコンの超入門書です。
オレにとって、この本はパソコンの初期学習時期の最良の指南書でした。この本にめぐりあわなければ、今日のパソコン人生はなかったといっても過言ではありません。残念ながら、この本の発売元のエクスメディアは、つい最近倒産してしまった。
ちょっと一休み。
さて、オレの現在のパソコン習得レベルは、やっと、文字が思い通りに入力できる程度です。たとえば、「寄ってってー」という単語をローマ字入力できるようになった。これが出来たときは自分自身に拍手をした。それなりにパソコンをかじってきて、それなりのことを覚えた。
思い通りに文章が綴れる…、ここまでくれば「オレはパソコンが出来るぞ」と、胸が張れる日はもうすぐです。ここで手を抜くな。今ここが、これからのパソコン人生にとって最大の分岐点なのです。
昔、オレの高校生時代、東京都内を縦横に走る都電を乗り継いで学校に通った。当時はのんびりしていて、たった一両の車両なのに運転手と車掌の二人が乗務していた。発車のたびに車掌さんが紐を引っ張ってチンチンと鐘をならしていたので、別名をチンチン電車といった。
今では、山手線の11両編成の長い車両を、うら若き小柄なお嬢さんがたった一人で運転している。そのようすを池袋駅で乗車して見たときはわが目を疑った。もちろん車掌さんも乗っているが…。時代が変わった。夢のようである。
その高校の漢文(かんぶん)の先生の言葉が、今でも耳に残っている。「漢文とは、習わないことは絶対に解らないぞ!」って言った。そして「教師の俺だって勉強しないと解らないのだから、ボーッと聞いてるだけのお前等には、なおさら解らないぞ!」だって…。
思えばパソコンもこの漢文と同じである。一つ一つじっくりと階段を登らなくては未来が開かれないのである。今は時間がかかってもいい。ここで費やした時間はあとでしっかり回収できます。パソコンとはそういうものなのだ。
超図解 わかりやすい EXCEL入門
パソコン入門書には超特大の落とし穴がある。「早まるな!」入門書自体の問題ではない。我々、読者側の利用の仕方に問題があるのだ。超入門書というヤツは、まるで三歳児用の絵本のようである。漢字が少なくほぼ平仮名で、活字も大きく漫画入りである。
活字に慣れっこになっているおじさん達は、そんな入門書をパラパラと2~3ページめくっただけで妙に安心し、解ったような気になってしまう。ここでパソコン入門書をなめてしまうのが問題なのだ。
入門書の落とし穴。
うぬぼれの強いオレは、はやばやと「 Excel 」に挑戦した。挑戦自体は悪いことではなかったが、ドツボにハマりそうになった。
が、そこは自信家のオレ「オレが理解できないのは解説のしかたが悪い」と決めつけた。そんなオレにエクスメディアの皆さんが、丁寧に付き合ったくれたお陰で落ちこぼれずにすみました。ありがとう、エクスメディア!
エクスメディアの書籍を薦めるわけ。
エクスメディアの書籍を薦める訳をお話しましょう。まず、下記の2枚の用紙をご覧下さい。左側が質問用紙(B5版)で、エクスメディアの本の巻末に綴じ込まれていたもので、右側が解答用紙(A4版)で、エクスメディアから FAX で送付されたものです。
上記Aの質問用紙に質問事項を書き込んで、エクスメディア宛に FAX 送信すると、右側のBのような回答用紙で返事がきた。しかも、必ず24時間以内にきたのです。
これって本当に凄いことなのです。
オレは上記の質問用紙を利用して、なんと、延々と150回以上も質問をし続けた。毎回必ず誠実に答えてくれたエクスメディアの「超図解わかりやすいExcel 入門」は、なんと、たったの 1,499 円である。
当時のパソコン教室の受講生の聴講料の相場は、一講座(60分) 1,575 円だった。これを、パソコン講座の講座料と比較してみてください。エクスメディアがいかに凄いことをやっていたかお解かりでしょう。
今、手元には、質問・返答用紙がヤマとある。この束を眺めながら、よくぞここまで…、と自分自身の粘り強さ(?)に驚いている。また、誠意あるエクスメディアの回答には感謝・感謝の気持ちでいっぱいである。
そして、エクスメディアに対し申し訳く思う気持ちもある。こんなやり取りに手間暇をかけすぎたことが倒産の一因ではないかと考えるからだ。なぜなら、最近のこのたぐいの本の出版元は、一回目の質問には必ず回答をよこすが、二回目以降は完全に無視されるからである。
なお、パソコンの勉強なんだから、当然、エクスメディアとの質疑応答はメールでも出来たがオレは FAX のやり取りにこだわった。理由は簡単で、メールのやり方が解らなかったからだ。それは「パソコン超入門」の第6章・メールを楽しもう! で手を抜いたからだ。お粗末! エクスメディアさんゴメン!
エクスメディアは素晴らしい!
それではエクスメディアとの質疑応答の思い出をいくつか…。
オレは、パソコンを習得するうえで致命的ともいえる欠陥がある。それは、横文字(アルファベット)は、ただの記号の文字列としてか認識できないことである。
例えば、下記のような日本語の文章では、
① これは薔薇です。こちらは檸檬である。
この時、オレの脳ミシは下記のように正常に反応します。
① これはバラです。こちらはレモンである。と、
しかし、次のように横文字が混じった文章に対しては…。
② これはTRUEです。こちらはFALSEである。
② これは???です。こちらは???である。…としか反応しない。
だから、② これは
そんなワケで、新しい横文字に出会うたびにエクスメディアに泣きついた。
2006年10月15日の朝、質問 : 私は横文字が全くダメです。読み方を教えて下さい。と、質問用紙に書いて、エクスメディアあてに FAX をした。
今回もいつものように同日の夕刻(19:58)に、下記のような回答書が送られてきた。赤い下線は、ここでの話を解りやすくするために後から書き入れました。
まずは赤丸①と②をご覧下さい。エクスメディアからの回答には、サポートの範囲を超えた質問には答えられません。といいながらも、律儀に答えてくれています。
そして赤丸③を見てください。さらに、さらに、サポートの範囲を超えているといいながら、次善の策も親切に書いてくれています。おもてなしの心が売りの温泉旅館、見習うべし!
オレが回答者なら、何度も何度も同じことを言わせるな、このバカタレが! とキレてしまうだろう。「ググれ、カス!」である。
「ググれ、カス!」の使われ方は、インターネット上の電子掲示板やチャットにおいて、自分で調べることをせずにあれこれと質問をするユーザーに 対して、「ググれ、カス!」と返答することが多かった。
「ググれ、カス!」の意味とは、それぐらい自分でググれ(googleなどの検索エンジンなどを使って自分で調べろ)カス野郎! と言った意味で使われている。※インターネットより一部引用
エクスメディアさんごめんなさい!
パソコン習得の早道は教えを請うことである。教えを請う方法には2ッある。
① まずは、最低限の基本をマスターしてから教えを請う。
それは、「ここが解りません」と、不明な個所を具体的にいえるぐらいの知識を身につけてから、ご教授を願うという考え方である。
② もう1ッは、先ほどの「ググれ、カス!」のカス野郎に徹することだ!
すなわち、このオレが解らないということは、本の書き方が悪い、また、教え方が悪いから何度も聞くんだという考え方である。
②の考え方をとるオレは…。
2006年11月20日の朝、次のように質問用紙に書いて、当然のごとくエクスメディアに FAX をした。
質問 : 市外局番 049 を入力すると 49 となってしまう。どのように入力すれば、049 と表示されるのでしょうか?
早々と同日の夕刻(18:10)に、いつものように返信(回答書)がきた。赤い二重の下線は、ここでの話を解りやすくするために後から書き入れました。
これを見て、エクセルをかじったことのある皆さんはどのように思いますか? 文字が小さくて見づらいけどガマンしてください。
オレがエクスメディアの回答者なら「エクセルのイロハぐらい、勉強してから質問しろ!」と怒鳴ったであろう。更に「死ね、馬鹿!」と言ったであろう。そんなことを、おくびにも出さずにヒントをくれたエクスメディアの回答者は立派だ!
これは「入門書には落とし穴がある」ということを地で行った例です。パソコンは手順を踏んで一歩一歩階段を登るように勉強を進めないとグチャグチャになる、という実例です。普通なら「超図解 もっとわかりやすいパソコン超入門」をマスターしてからワード、エクセルへと進みます。
このときワードをおろぬいた私は、エクセルで住所録を作っていた。住所・会社名は難なく書き終えた。そして、つぎは当然のごとく電話番号を書き込んだ。049-×××-0000…と。記入し終わって確認をするとちょっと変、049 が 49 になっていた。そんなわけで、エクスメディアに多大な迷惑をかけてしまった。
本来なら、数式のエクセルに 49 を 049 と書く人はいません。これって常識ですよね。手抜きをした天罰が下ったのです。エクセルに 0 が反映されないのは、電話番号みたいなモノを書くことを想定していないから当然です。
しかし、パソコンは賢い
これは数式の数字じゃなくて、文字扱いですよ~というサイン ' (アポストロフィー)をつけて「'049」と書いてあげると、「よし、解った」と、049 と文字扱いをしてくれる。素晴らしい!
浜ちゃんもゴメン!
ある日、南伊豆のホテル弓ヶ浜の営業課長の伊豆の浜ちゃんが営業にきた。浜ちゃんは30才までは東京都内でサラリーマンをしていたが、結婚を期に実家のある伊豆下田に戻った。いい環境で子育てをしたいからだそうだ。この浜ちゃんはなかなかのしっかり者で、オレが Excel をやっていることを知ると「顧客管理台帳を作りたいから教えて下さい」といった。
それならば今夜、宿泊先のビジネスホテルで予習をしてこいと、エクスメディアの Excel の本を手渡し、Section 45 を指示した。
翌朝、オレ、パソコンにむかった浜ちゃんの背後から画面をのぞくと指示とは違うことをやっている。なんと顧客管理とは関係のない図形を描いていた。
ゲンコツをもらった浜ちゃん
それを見てオレは、オマエは顧客管理台帳を作りたいと言ったのに、なにを遊んでいるんだと、浜ちゃんの頭をポカリとやった。
浜ちゃんは振り向いて、言われた通りにやっていますと、不満げに本を開き Section45 のページを指しながらムッとしていた。
オレ、Section45 にはそんなことは書いてないぞと言いながら、寄こせと本を取り上げ指示したページの確認をした。
ム、ム、ム! 何だ、何だ? なんと、なんと、Section42 が欠番しており、Section45 が2回も書いてあっただ。浜ちゃんは、オレが指示した Section45 ではなく、別のページの Section45 を勉強したいたのだ。
早速、エクスメディアに間違いを指摘する FAX を送った。
いつものように返事が来た。
上記、赤い二重下線のところをご覧下さい。驚いたことに、ミスプリを2回も見つけてくれたのでエクスメディアが本をくれるといってきた。本がもらえることに驚いたのではない。ミスプリ発見者のデーターを保存してあったことに驚いたのである。わずか2,000円弱の本なのに、こんなことまでしているなんて…、サービス第一の温泉旅館頑張れ! 世の中かわったぞ!
オレは、エクスメディアから本を貰った。浜ちゃんは、ゲンコツを貰っただけだった! 浜ちゃんもごめんね!
超図解 わかりやすい ACCESS入門
ある日、中禅寺温泉のホテル ミヅウミの新人営業マンの吉沢君がやってきた。新人といっても途中入社で30才のうえである。これまでは宇都宮市内で事務系の仕事をしていたが、自然に近い環境で身体を動かす仕事がしたくて中禅寺温泉に来たそうだ。奥さんの実家が近かったこともあったそうだが…。
吉沢君は、花山君とはまったく別のタイプのパソコンの使い手であった。いわば事務系の職場で威力を発揮する実践的なタイプあった。
どうせ勉強するなら…
オレが Excel をやっているのみた吉沢君は、どうせ勉強するならレベルが一段上の ACCESS にしたらと勧めてくれた。吉沢君は、まだ20代だった前職の時代にアクセスを駆使して会社の事務環境を一新したという。
事務畑の出身で、いつかはパソコンを実践の武器にと考えていたオレは、吉沢君の勧めに飛び乗った。が、結果は出なかった。
答えは簡単である。齧ったがかみ砕けなかったのでる。手に負えなかったので学習を止める理由を探した。これもすぐに答えが出た。我が総案の事務は手作業のほうが圧倒的に有利であったのと、60才を超えたオレに事務を任せてくれる職場なんてないとの結論にいたからです。
吉沢君は残念がったが、彼も旅館の仕事をマスターするのに忙しかったので、 ACCESS の話しはうやむやになった。吉沢君といえば、フロッピーディスクである。オレのパソコンには、フロッピーディスクを使う装置がなかったので、実際にはどんな働きをするのかわからなかったが、小さな小さなレコード盤のようなやつを触った感触が残っている。吉沢君ありがとう!
<完>